こんにちは。AI Native の田中です。
今回は、Playwright MCP × Claude Codeを活用して、業務委託・パートナー向けの契約書送付フローを半自動化した事例をご紹介します。
契約管理周りの業務は、情報収集から書類作成、送付まで多くの手作業が発生しがちです。今回はまずパートナー情報を受け取るためのGoogleフォームを自動生成するところから始め、そのデータを元にドキュメントを自動生成し、契約書を送信するところまでを自動化しました。
今後は、クラウドサイン・freeeサイン・ドキュサインなどの電子契約サービスへのアップロードも自動化していく予定です。
ワークフロー全体像
今回構築した契約書送付の半自動化フローは以下の通りです。
- 契約書の雛形を作成:テンプレート化して変数を設定
- パートナーからGoogleフォームでデータ取得:個人情報・振込先等
- スプレッドシートにフォーム情報を出力:Googleフォーム標準機能
- 業務依頼内容を別途ドキュメント作成:業務内容・期間・ゴール
- 個人データ+業務データを契約書フォーマットに適用
- Google Docsの自動生成:Claude Codeからコマンド一発
- 確認フロー:自社内確認、必要に応じて先方に確認依頼
- 電子契約サービスにアップロード・送付
このプロセスの開発は他の作業をしながら30分程度で完了し、実際の契約書締結フローは5〜10分でPDFダウンロードから送信まで完了できるようになりました。
バックオフィス業務のAI自動化をご検討の方へ
無料相談に申し込む →Step 1: 契約書の雛形作成
まず最初に、契約書の雛形を作成します。雛形は一度作成しておけば、以降のすべての契約書生成で再利用できます。
雛形に含める要素
- 契約の目的・概要
- 業務内容の記載欄
- 契約期間
- 報酬・支払い条件
- 秘密保持条項
- 契約解除条件
- その他の一般条項
雛形作成のポイント
契約書の雛形は、弁護士や行政書士に相談して作成することをおすすめします。特に業務委託契約の場合、偽装請負にならないよう注意が必要です。
また、雛形を作成する際は、後で変数化(テンプレート化)しやすいように、変更が必要な箇所を明確にしておくと良いでしょう。
技術的な実装
今回は以下の方法でテンプレート化を行いました。
.docxテンプレートとプレースホルダー
.docxファイルに{{placeholder}}形式のプレースホルダーを設定し、Google Docs APIで自動置換する仕組みを構築しました。
契約者名:{{contractor_name}}
住所:{{contractor_address}}
業務内容:{{task_description}}
契約期間:{{contract_start_date}} 〜 {{contract_end_date}}
CLIツール化
契約書生成をCLIツールとして実装し、以下のようなコマンドで契約書PDFを生成できるようにしました。
$ python generate_contract.py --partner "田中太郎" --contract-data contract.json
contract.jsonには業務内容や契約期間などの情報をJSON形式で記述しておき、CLIから指定することでテンプレートに自動適用されます。
⚠️ 法務チェックの重要性
契約書の雛形は必ず専門家(弁護士・行政書士)のチェックを受けてください。特にフリーランス保護法などの法改正にも対応した内容にすることが重要です。
Step 2: Googleフォームでパートナー情報取得
まずはGoogleフォームでパートナーからデータを取得します。このフォームには以下のような情報が含まれます。
- 氏名・住所などの個人情報
- 振込先口座情報
- 連絡先情報
- 契約に必要なその他の情報
このフォーム自体もClaude Codeで自動生成しました。Playwright MCPを使うことで、ブラウザ操作を自動化し、Googleフォームの作成から設定までをコード化できます。
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Claude Codeの活用方法についてはクライアントワークでのCursor・Claude活用実践もご参照ください。
Step 3: スプレッドシート連携
Googleフォームの回答は、Googleスプレッドシートに自動出力されるように設定します。これはGoogleフォームの標準機能なので、特別な開発は不要です。
スプレッドシートに蓄積されたデータは、後続の契約書生成プロセスで参照されます。
Step 4: 業務委託内容ドキュメント作成
パートナーとのミーティングなどで決まった業務内容を、別途ドキュメントにまとめます。
- 業務内容の詳細
- 契約期間
- 達成すべきゴール
- 報酬条件
このドキュメントも構造化しておくことで、後続の自動処理がスムーズになります。
💡 Claude Codeでドキュメント作成を効率化
ミーティングの議事録や打ち合わせ内容をClaude Codeに渡してドキュメント作成を依頼すると、構造化された業務委託内容ドキュメントを素早く生成できます。このドキュメントをそのまま次のステップで利用することで、契約書作成までの流れがよりスムーズになります。
Step 5: 契約書テンプレートと変数設計
契約書の雛形を事前に用意し、テンプレート化しておきます。テンプレートの中には変数を設定し、取得した個人情報や業務委託内容を動的に適用できるようにします。
変数設計のポイント
{{contractor_name}}:契約者名{{contractor_address}}:住所{{bank_account}}:振込先情報{{task_description}}:業務内容{{contract_period}}:契約期間{{compensation}}:報酬条件
実装方法
コードとしてはPythonを活用していますが、その手前でClaude Codeを使ってドキュメントの整理やどういう内容を入れるかをJSONで渡し、それをドキュメント生成に使用しています。
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AIワークフロー構築の詳細はAIワークフロー・Difyで業務効率化を実現する完全ガイドをご参照ください。
Step 6: Google Docs自動生成
Claude Codeからコマンド一発でドキュメントが生成され、Googleドキュメントにテンプレートに基づいた契約書の内容が自動で作成されます。
Playwright MCPを使うことで、Googleドキュメントの操作もプログラマブルに行えます。これにより、データの取得から契約書の生成までを一連のフローとして自動化できました。
🔧 技術構成
- Claude Code:全体のオーケストレーション
- Playwright MCP:ブラウザ操作の自動化
- Python:ドキュメント生成処理
- Google Workspace:フォーム、スプレッドシート、ドキュメント
Claude Codeと各種ツールの比較についてはClaude Code比較記事もご参照ください。
Step 7: 確認フロー
自動生成された契約書は、送付前に確認プロセスを経ます。
自社内確認
生成された契約書の内容が正しいか、社内でレビューします。テンプレートと変数が正しく適用されているか、業務内容に誤りがないかを確認します。
先方への確認依頼(必要に応じて)
契約内容によっては、先方に確認依頼を送ることもあります。この場合も、確認依頼のメール送信を自動化することが可能です。
Step 8: 電子契約サービス連携
確認が完了したら、PDF化してクラウドサインなどの電子契約サービスにアップロードし、送付します。
電子契約サービス側では、署名位置や印鑑の設定が必要になるため、このフローは手動で行います。この部分も自動化することは技術的には可能ですが、最終確認の意味も兼ねて、弊社では意図的に手動で行っています。
現在の対応
- Google DocsからPDFエクスポート
- 電子契約サービスに手動アップロード
- 契約書送付
今後の拡張予定
今後は以下の電子契約サービスへの自動連携も進めていく予定です。
- クラウドサイン
- freeeサイン
- ドキュサイン
これらのサービスはAPIを提供しているため、Playwright MCPやAPIを使った自動化が可能です。
成果と効果
今回の半自動化による効果をまとめます。
📊 導入効果
- 開発時間:他の作業をしながら約30分で完了
- 契約書締結フロー:5〜10分でPDFダウンロードから送信まで
- ヒューマンエラー削減:テンプレート化による入力ミス防止
- スケーラビリティ:パートナー数が増えても対応可能
従来は契約書の作成から送付まで1件あたり30分〜1時間程度かかっていた作業が、大幅に短縮されました。
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Google連携の自動化についてはDify × Google連携でPDFからCSVまで自動化もご参照ください。
まとめ
今回は、Playwright MCP × Claude Codeを使った契約書送付の半自動化について紹介しました。
ポイントをまとめると:
- Googleフォームでパートナー情報を効率的に収集
- テンプレート化された契約書に変数を適用
- Claude Codeからコマンド一発でドキュメント生成
- 開発30分、運用5〜10分で契約書送付まで完了
バックオフィス業務の自動化は、スタートアップや成長企業にとって非常に重要な課題です。特に契約管理のような定型業務は、AIと自動化ツールを組み合わせることで大幅な効率化が可能です。
AI Nativeでは、このようなバックオフィスワークフローの自動化支援も行っています。AI BPOサービスとして、業務プロセスの分析から自動化の設計・実装までをサポートしています。
AI組織構築についてはこちら:AI開発組織の構築とCursor・Claude Code活用


