はじめに
まだ上場もしていないスタートアップが何を言っているのか、と思われるかもしれません。
しかし、最近多くの企業の話を聞いていて、強く感じることがあります。
AIを使わない経営者は、この2〜3年で淘汰される。
これは脅しではなく、実際に起きている現実です。
AIの波に対する危機感や対応が遅い経営者が、あまりにも多い。危機感がないから、投資判断ができない。投資判断ができないから、自社がどんどん危機的な状況に陥っていることに気づけない。
この記事では、なぜAIを使わない経営者が危機に陥るのか、そして経営者が今すぐすべきことは何かをお伝えします。
新しい競争環境の到来
これまで競合ではなかった企業が脅威になる
AIによって、これまで競合ではなかった企業が、ガンガン違う領域にはみ出しやすくなっています。
なぜか?
開発スピードがとんでもなく早くなったからです。
従来であれば、新しい領域に参入するには:
- 立ち上げできるレベルの人材採用・異動による開発チームの組成
- 半年〜1年の開発期間
- 多額の初期投資
が必要でした。
しかし、AIを活用すれば:
- 小規模チームで開発可能
- 1〜3ヶ月で最初のリリース
- 最小限の初期投資
で、新しい領域に参入できます。
売上・利益最大化の新しいパターン
競合ではなかった会社が、違う領域にどんどんはみ出すことによって、売上・利益を最大化してくる。
これは当たり前のことです。
- マーケティング会社が、AIツールを開発して販売
- コンサルティング会社が、AI BPOサービスを提供
- メディア会社が、AIによるコンテンツ生成ツールを販売
このような事例が、すでに多数出てきています。
あなたの会社の競合は、もはや「同じ業界の会社」だけではありません。
従来型経営の限界
従来型KPI管理だけでは不十分
最近、企業の話を聞いていて感じるのは、これまで通りの従来型のKPI管理をしっかり守っている会社が多いということ。
もちろん、それは大事です。
しかし、それに今まで通りに採用して人をかけて作っていくというやり方から変化できていない企業が、あまりにも多い。
従来型のKPI管理:
- 月次売上目標
- 営業人員あたりの受注件数
- 開発チームの生産性(ストーリーポイント)
- マーケティングのCPA・ROI
これらは重要です。しかし、これだけでは足りない。
なぜなら、AIによって:
- 1人あたりの生産性が10倍になる可能性がある
- 従来の人員配置が不要になる業務がある
- 全く新しい収益源が生まれる
ことが現実になっているからです。
上場企業でも危機感がない経営者が多い
私が最近話を聞いた上場企業でも、危機感がない経営者がまだまだいっぱいいます。
AIに対する投資感覚が、まだ危機感を感じていないので、投資に至っていないし、投資の判断もできていない。
これが現状です。
AI投資判断の致命的な遅れ
「やってみて」の丸投げが失敗する理由
多くの経営者が、こう言います。
「社内でAI推進担当を決めて、やってみて」
これが、最も失敗するパターンです。
なぜか?
自分で手を動かして、自分でキャッチアップした上で判断しているのかわからないが、かなり投資の判断が遅い。
経営者が自分でAIを使わず、誰かに「やってみて」と投げてしまうと:
- スピードが遅い
- AIをやったことがない人がいきなり旗を振り始めても、スピードが遅くて成功体験を積むのが遅くなる
- 判断基準がない
- 経営者自身がAIを使っていないので、何が良くて何が悪いのか判断できない
- 投資判断が遅れる
- 実感がないので、本当に投資すべきかどうか決められない
AI未経験者に旗振りさせるリスク
そもそも、社内でAI推進担当に「やってみて」と言って、AIをやったことがない人がいきなり旗を振り始めても、スピードが遅い。
成功体験を積むのが遅くなるので、それを全社適用していくのに1年半から2年ぐらいかかるのではないかと、多くの支援先を見ていても思います。
AI導入の現実的なタイムライン
POCで成果を出すまで3ヶ月
POC(概念実証)で初めて成果を出すまで、3ヶ月程度がかかると普通に考えたほうがいい。
それぐらいのタイムライン・ロードマップで見ておく必要があります。
AIを使っていきなり結果が出るわけではない。
大きな結果を出すには2〜3ヶ月
大きな結果を出すためには、2〜3ヶ月みたいな尺度で見た上で作っていく必要があります。
もちろん、開発をしてリリースするだけだったら、1ヶ月とか1ヶ月以内でもリリースすることはできます。
しかし、そこからさらに:
工数削減の場合:
- ワークフローの開発:1ヶ月
- 社内への展開・研修:1ヶ月
- 実際の効果測定:1ヶ月
- 合計:2〜3ヶ月
売上向上の場合:
- AI活用ツールの開発:1ヶ月
- 営業への展開:1ヶ月
- 実際の売上インパクト測定:1ヶ月
- 合計:2〜3ヶ月はミニマムでもかかる
全社適用まで1年半〜2年
そして、全社適用していくには、1年半から2年ぐらいかかると考えておいたほうがいいでしょう。
これは、私たちが多くの企業支援を通じて見てきた現実的なタイムラインです。
意思決定の遅れが生む致命傷
意思決定を遅らせるほどロードマップが長くなる
ここで重要なのは、「それをまず知らない」ということが、かなりのリスクになっているということです。
意思決定を遅らせれば遅らせるほど、その検証だったり、自社をAI化していくロードマップが長くなる。
- 今すぐ始めれば:POC 3ヶ月 + 全社展開 1年半 = 約2年
- 1年後に始めれば:POC 3ヶ月 + 全社展開 1年半 = 約3年半(1年の遅れ + 2年)
この差は、競争環境において致命的です。
スマホシフト以上の大きな波
私は、AIの波はスマホシフト以上の大きな波だと考えています。
スマホシフトのときを思い出してください。
- 2007年:iPhone発売
- 2010年:スマホアプリ市場の急成長
- 2015年:スマホファーストが当たり前に
わずか8年で、ビジネス環境が完全に変わりました。
AIの波は、もっと速い。
- 2022年11月:ChatGPT発表
- 2023年:生成AI市場の急成長
- 2024年:AI活用が競争力の源泉に
- 2025年〜2027年:AI活用できない企業の淘汰
自分の手で動かして実感することの重要性
スマホシフトのような大きな波が来たときに、いち早く検証して、それを自分の手で動かして実感して意思決定するということが、あまりにも大事です。
その感覚がないと、これまでの経営をうまくいっている会社であっても、危機的な状況に陥る可能性があります。
経営者が今すぐすべきこと
では、経営者は何をすべきか?
1. 自分でAIツールを使ってみる
まず、自分で手を動かしてください。
最低限、以下のツールを実際に使ってみることをおすすめします:
基本的なAIツール:
- ChatGPT / Claude:業務での活用を試す
- Cursor:コード生成を体験する
- Dify:ワークフロー構築を試す
週に1時間、自分で使ってみる。
それだけで、AIの可能性と限界が実感できます。
2. 小さく始めて成功体験を積む
全社展開を目指す前に、小さく始めて成功体験を積んでください。
推奨アプローチ:
- 1セクション、3〜4名から始める
- 全社ではなく、1つのセクションに絞る
- 週次1時間の定例ミーティング
- 3ヶ月で成果を出す
- 最初の1ヶ月:ツール習得・小規模実装
- 2ヶ月目:実業務への適用
- 3ヶ月目:効果測定・改善
- 成功体験を横展開
- 成功したセクションの事例を他セクションに共有
- 徐々に全社展開
詳しくは、ビジネス職でもAIワークフロー開発者になれる:3ヶ月250人企業での伴走支援実践記録の記事もご参照ください。
3. 投資判断を迅速化する
自分で体験した上で、迅速に投資判断をしてください。
投資判断のポイント:
- 小さく始める:まずは月数十万円〜数百万円の予算で
- 3ヶ月で判断:3ヶ月後に継続・拡大・中止を判断
- ROIを測定:工数削減・売上向上を定量的に測定
「検討します」「来期の予算で」と言っている間に、競合は先に進んでいます。
まとめ:AI化の波は待ってくれない
2〜3年後の競争環境を想像してください
2〜3年後、あなたの会社の競争環境はどうなっているでしょうか?
AIを活用している企業:
- 1人あたりの生産性が10倍
- 開発スピードが5〜10倍
- 新しい収益源を創出
- 異業種からの参入に成功
AIを活用していない企業:
- 従来通りの生産性
- 従来通りの開発スピード
- 従来通りの収益構造
- 競合に淘汰される
どちらになりたいですか?
今すぐ行動を
意思決定を1日遅らせるごとに、AI化のロードマップが長くなります。
- 今日から自分でAIツールを使ってみる
- 来週、小規模なPOCを始める
- 3ヶ月後、投資判断をする
この3ステップを、今すぐ始めてください。
AI Nativeの支援サービス
AI Nativeでは、経営者のAI活用支援を行っています。
壁打ち(無料相談)
まずは壁打ちからスタートしてみませんか?
- AI活用の可能性診断
- 自社に合ったAI導入ロードマップの策定
- 投資対効果の試算
壁打ち自体は無料なので、ぜひお問い合わせください。
CAIO(Chief AI Officer)サービス
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