Dify MCP連携完全ガイド|Claude Desktop × Dify で AIワークフローを自動化
MCP(Model Context Protocol)は、Anthropicが2024年末に発表した革新的なオープンプロトコルです。AIアプリケーションと外部ツール・データソースを標準化された方法で接続し、AIエージェントの可能性を大幅に広げます。本ガイドでは、DifyとMCPを連携させる方法を、基礎から実践まで徹底解説します。
この記事でわかること
- MCPの基本概念とDifyとの連携メリット
- DifyでMCPを使う3つの方法(プラグイン別解説)
- Claude DesktopからDifyワークフローを呼び出す設定手順
- 7,000以上の外部ツールとの連携方法
- トラブルシューティングとベストプラクティス
📘 公式ドキュメント: Dify MCP公開ガイド(日本語)
MCPとは?AIエージェントの新しい標準プロトコル
MCP(Model Context Protocol)は、AIアプリケーションが外部のデータソースやツールと連携するためのオープンな標準プロトコルです。「AIのUSB-Cポート」とも呼ばれ、一度対応すればあらゆるMCP対応ツールとシームレスに接続できます。
MCPのアーキテクチャ
MCPはクライアント・サーバー型のアーキテクチャを採用しています。
- MCPホスト:AIアプリケーション(Claude Desktop、Cursor、Difyなど)
- MCPクライアント:ホスト内でサーバーとの通信を担当
- MCPサーバー:外部ツールやデータソースへのアクセスを提供
MCPが提供する3つの機能
- Tools(ツール):外部APIやサービスの実行機能
- Resources(リソース):ファイルやデータベースへのアクセス
- Prompts(プロンプト):再利用可能なプロンプトテンプレート
なぜMCPが重要なのか
従来、AIアプリケーションを外部ツールと連携させるには、各ツールごとにカスタム統合を開発する必要がありました。MCPにより、一度の対応で多数のツールと接続できるようになり、開発効率が飛躍的に向上します。
Difyニュースでも報じられている通り、2025年は「AIエージェントの年」と称され、MCPはその中核技術として注目されています。
DifyでMCPを使う3つの方法
Difyでは、以下の3つのプラグインを使ってMCP連携を実現できます。それぞれ用途が異なるため、目的に応じて選択しましょう。
1. MCP SSEプラグイン(外部ツール呼び出し)
MCP SSEプラグインは、HTTPとSSE(Server-Sent Events)を使って複数のMCPサーバーと通信します。Difyエージェントが外部ツールを動的に検出・呼び出しできるようになります。
こんな時に使う
- Zapier、Notion、Slackなど外部サービスをDifyから操作したい
- 複数のMCPサーバーを同時に利用したい
- エージェントに自律的なツール選択をさせたい
2. MCP Agent Strategyプラグイン(ワークフロー統合)
MCP Agent Strategyプラグインは、DifyワークフローのAgentノードにMCP機能を直接統合します。エージェントが自律的に外部ツールを選択・実行する仕組みを構築できます。
こんな時に使う
- ワークフロー内でMCPツールを条件付きで使いたい
- Function Calling形式でツールを呼び出したい
- より細かい制御が必要な場合
3. mcp-serverプラグイン(Difyを公開)
mcp-serverプラグインは、Difyアプリ自体をMCPサーバーとして外部に公開します。Claude Desktop、Cursor、Clineなどから直接Difyワークフローを呼び出せるようになります。
こんな時に使う
- Claude DesktopからDifyワークフローを使いたい
- CursorなどのIDEからDifyを呼び出したい
- 自社のDifyアプリを他システムに連携したい
MCP SSEプラグインの設定手順
最も汎用的なMCP SSEプラグインの設定方法を解説します。この方法で、Zapierの7,000以上のツールを含む多数の外部サービスと連携できます。
Step 1: プラグインのインストール
- Dify CloudまたはセルフホストのDifyにログイン
- 右上の「プラグイン」アイコンをクリック
- 「Marketplace」タブを選択
- 検索ボックスで「MCP SSE」を検索
- 「インストール」ボタンをクリック
Step 2: エージェントアプリの作成
- 「アプリを作成」 → 「最初から作成」を選択
- アプリタイプで「チャットフロー」を選択
- エージェントノードを追加
- エージェンティック戦略で「MCP Agent」を選択
Step 3: MCPサーバーの設定
MCPサーバーのエンドポイントURLを設定します。例えば、Zapier MCPを使う場合:
https://actions.zapier.com/mcp/<YOUR_API_KEY>/sse
各MCPサーバーのエンドポイントは、サービス提供元のドキュメントを参照してください。
DifyアプリをMCPサーバーとして公開する方法
mcp-serverプラグインを使うと、Difyで作成したアプリをMCPサーバーとして公開できます。Claude DesktopやCursorから直接Difyワークフローを呼び出せるようになります。
プラグインのインストールと設定
- Dify Marketplaceから「mcp-server」プラグインをインストール
- プラグイン設定画面でエンドポイント名を設定
- 公開するDifyアプリを選択
- アプリタイプ(チャット/ワークフロー)を指定
- 入力パラメータをJSON形式で定義
Claude Desktopからの接続設定
Claude Desktopの設定ファイル(claude_desktop_config.json)に以下を追加します:
{
"mcpServers": {
"dify-workflow": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"@anthropic/mcp-server-fetch",
"https://your-dify-instance.com/mcp/v1/sse"
]
}
}
}
設定後、Claude Desktopを再起動すると、Difyワークフローがツールとして利用可能になります。
dify-mcp-server(GitHub)の活用
GitHubで公開されているdify-mcp-serverを使うと、より柔軟なMCP連携が可能です。複数のDifyワークフローを一つのMCPサーバーとして公開できます。
インストールと設定
# 環境変数の設定 export DIFY_BASE_URL="https://cloud.dify.ai/v1" export DIFY_APP_SKS="app-sk1,app-sk2,app-sk3"
またはconfig.yamlファイルで設定:
dify:
base_url: "https://cloud.dify.ai/v1"
app_sks:
- "app-sk-workflow1"
- "app-sk-workflow2"
DIFY_APP_SKSには、公開したいDifyワークフローのApp Secret Keyをカンマ区切りで指定します。各SKは異なるDifyワークフローに対応します。
実践的な活用例
例1: Zapier × Difyで業務自動化
Zapier MCPを使うと、7,000以上のアプリ連携がDifyエージェントから利用可能になります。
- Slackにメッセージ送信
- Google Sheetsへのデータ追記
- Notionページの作成・更新
- メール送信(Gmail、Outlook)
- カレンダー予定の作成
Dify × Google連携の詳細ガイドも参考にしてください。
例2: Cursor × DifyでAIコーディング強化
CursorからDifyワークフローを呼び出すことで、以下のような高度な開発支援が可能になります:
- Dify RAGを使った社内ドキュメント検索
- コードレビューワークフローの自動実行
- テストケース生成の自動化
- API仕様書からのコード自動生成
例3: データ分析ワークフロー
Difyのワークフロー機能とMCPを組み合わせることで、複雑なデータ分析パイプラインを構築できます。Web検索、データ取得、分析、レポート作成までを一つのフローで自動化できます。
トラブルシューティング
よくある問題と解決策
| 問題 | 原因 | 解決策 |
|---|---|---|
| 接続エラー | エンドポイントURLの誤り | URLを再確認、末尾の/sseを確認 |
| 認証失敗 | APIキーの期限切れ | 新しいAPIキーを発行 |
| ツール未検出 | プラグイン未インストール | MCP SSEプラグインを再インストール |
| タイムアウト | ネットワーク遅延 | タイムアウト値を延長 |
セキュリティのベストプラクティス
セキュリティ上の注意
- APIキーは環境変数で管理し、コードにハードコードしない
- 本番環境では内部ネットワークでのみMCPサーバーを公開
- MCPプロトコルのハンドシェイク時に適切な認証を実装
- アクセスログを監視し、不正なアクセスを検知
Difyバージョン要件
MCP連携機能を最大限に活用するには、Dify 1.6.0以上が推奨されます。このバージョンで「Built-in Two-Way MCP Support」が導入され、双方向のMCP連携が標準機能となりました。
Dify 1.6.0の新機能
- DifyアプリからMCP対応外部ツールを呼び出し可能
- Difyアプリ自体をMCPサーバーとして公開可能
- 7,000以上の外部ツールとの連携をサポート
よくある質問(FAQ)
Q: MCPとAPIの違いは何ですか?
A: APIは個別のサービスとの通信プロトコルですが、MCPはAIアプリケーションと複数のツール/データソースを接続する標準化されたプロトコルです。一度MCP対応すれば、あらゆるMCP対応ツールと接続できます。
Q: Dify Cloudでもセルフホストでも使えますか?
A: はい、両方で利用可能です。Dify Cloudでは即座にプラグインをインストールできます。セルフホストの場合は、ネットワーク設定に注意が必要です。
Q: 無料で使えますか?
A: Dify自体は無料プランがあり、MCPプラグインも無料で利用できます。ただし、連携先サービス(Zapierなど)の利用料は別途発生する場合があります。
Q: どのLLMモデルでMCPを使えますか?
A: MCPはLLMモデルに依存しません。Difyでサポートされているすべてのモデル(GPT、Claude、Geminiなど)でMCP機能を利用できます。
次のステップ
Dify × MCP連携の基本を理解したら、以下のステップで実践を深めましょう:
- シンプルな連携から始める:まずはZapier MCPで1つのツール連携を試す
- ワークフローを構築:Difyワークフローで複数ツールを組み合わせる
- 本番環境に適用:セキュリティを考慮して業務に導入
- 継続的に改善:Difyニュースで最新情報をキャッチアップ
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